SandyとNaoのつぶやきcompany
2020年10月06日
多くのペットたちには、誕生日の他にもうひとつ
大切な日がある。
それを『うちの子記念日』なんて言ったりする。
"うちの子"として家族になった日だ。
Sandyも先日、その記念日をお祝いした。
今もほとんどの場所へ一緒に出掛けるが
(一緒に行ける場所を選んで出掛けている、が正解)
うちの子になった当初は週に3回ほど通っていた
習い事にも、Sandyを同伴した。
おけいこを終えた休日の昼下がり、お天気が良かったので
帰宅する前にSandyを近くの公園で遊ばせることにした。
原っぱを思う存分クンクンし、小さな体で
コロコロコロコロ元気に駆け回った。
ベンチに腰掛けひと休みしていると、
小学生の女の子たちが近づいてきた。
「わぁ!可愛いですね。触ってもいいですか?」
「男の子ですか?女の子ですか?」
「名前は何て言うんですか?」
「何ていう種類ですか?」
「お散歩させてもらっても良いですか?」
その中の1人が矢継ぎ早にあれこれ言ってくる。
尋ねてみるとみんな小学3年生とのこと。
Sandyはまだまだ元気だったので、
リードの持ち方などを教え散歩してもらうことにした。
慣れてくると女の子たちは順番に駆けっこもした。
みんな俊足の持ち主で、全速力で走れたSandyは
ハァハァしながらそれはそれは嬉しそうだった。
笑顔だったし、今よりずっと短かった尻尾を
千切れそうなほどにブンブン振っていた。
女の子たちと私は名前を交わした。
私に新しく、可愛い友だちができたのだった。
気づけば空が薄暗くなってきた別れ際、
例のとても積極的なMちゃんが言った。
「Naoさん、次はいつ遊べますか?」
"会えますか"ではないその言葉が新鮮だった。
―そうねぇ、じゃあまた来週の今頃ここに来ようかな。
そう答えた。
たまたま何となく、思いつきで初めて立ち寄った
その公園だったのだが、こうしてひょんな具合で
しばらくそこに通うこととなった。
出会って2年目の冬のこと。
その日は1人だったMちゃんが言った。
「あのー、Naoさんの住所を教えてもらえますか?」
―えっ、良いけどどうして?
「年賀状を出したいと思いまして」
―なるほど。ありがとう。私の住所は…◯-◯◯-3。
するとMちゃん、ケータイにメモしながらこう言った。
「3の次は何ですか?」
―3で終わりよ。
「いや、ナンマルナニとか」
―そういうのはないけど。
「えっ?そんなに短いんですか⁈ちゃんと届きますか?」
と迫ってくる。
―もちろんちゃんと届くよ。だってそれが住所だもん。
「え、でも、普通はみんなナンマルナニがつくけど…」
―Mちゃんのお家はマンションなのかな。うちは違うんだ。
すると異次元の者でも見るような目になって
「マンションじゃないんですか⁈」と驚くMちゃん。
聞けばMちゃんのお家はどうやら巨大なマンション群にあり
学校のお友だちもみんなそこに住んでいるらしい。
なるほど。それじゃあナンマルナニが"普通"なのも頷ける。
後にMちゃんは、男女入り乱れたほとんどひとクラスの
大勢のナンマルナニ友だちを連れてきてくれた。
彼らと一緒に写った赤ちゃんSandyの写真が残っている。
しかしあの時は面白かった。
本当に何度も何度も聞かれたのだから。
「3の次のナンマルナニは何ですか?」って笑笑
これまでの人生で印象に残っている会話ベスト10に
入るくらい面白かったので、この話を私から聞いた人は
少なくないかもしれない。
Mちゃんが私立の中学校に無事合格したまでは知っているが
私も習い事を辞めてしまいその公園に行く機会もなくなった。
その後はお互いに忙しくなって、今はやりとりをしていない。
Mちゃん、元気にしていますか?
フレンドリーだけれど礼儀正しさを忘れない
ちょっぴり大人びた小学生だったあなたは、
今はもう高校生?…大学生⁈ハタチも目前ですね。
相変わらず周りにはお友だちがたくさんいて
毎日を楽しく過ごしていることでしょう。
きっと素敵な恋人もいるのでしょうね。
子分のようにしていたお友だちを親指で差して
「この子のお父さんはトーダイ出でデンツーなんですよ」
なんて言って私をクスッと笑わせたMちゃんが
とてもとても懐かしいです。
Sandyが家族になって10年。
彼の子犬時代を振り返る時には決まって、
あの頃一緒にたくさん遊んだずっと年下の友だち
Mちゃんのことを思い出す。 ―N