本文へスキップ

文京区 家庭的保育事業 小堀奈央

TEL.03-3822-8488

〒113-0021 東京都文京区本駒込4-27-3-103

SandyとNaoのつぶやきcompany


2020年10月19日

伯父が、88年の天寿を全うした。
自宅にて倒れ、伯母の膝に抱かれて旅立ったのだという。
淋しいけれど、とても良い最期だったなと思っている。

このご時世もあり、葬儀にはごく一部の人たちだけが集った
のだが、皆会うのが20年ぶり30年ぶりの親戚ばかり。
昔話に花を咲かせ、遠い日を懐かしんだことだった。

幼かった私は、伯父の家によく泊りに行った。
母が海外に行って不在だった時に暮らしたり、
妹が生まれる時にもお世話になった。
社員旅行に出かける伯父家族を母と見送りに行って、
そのまま私だけ一緒について行ってしまった2歳の頃の
エピソードは何度聞いても面白く、実際よく覚えている。

あれこれ話しているうちに、色んなことを思い出した。
あれは確か緑色の、上からコインを入れるとクネクネと
下に向かってたまっていく貯金箱(箱型ではないのだが)。
そんなのあったよね!?
と伯母に聞くと「まだあるよ。今も毎日100円入れてるよ。」
とのことで嬉しびっくり。
「1年貯めたらお鍋を買ったりするの」だそう。
葬儀を終えて伯父の家に寄ると、記憶のままのその貯金箱が
すぐに目に飛び込んできた。一気に子ども時代に戻った気分。
懐かしいなぁ。

伯父の娘である私のふたりの従姉妹たちが言った。
「Yおばさん(私の母)が言ってたよね。”可愛いって
言葉はNaoのためにある”って。」「私も子どもたちみんなに
同じこと言ったよ」「私も言ったよ」と。
例え多くの人に言われなくても、一人の人が心の底からそう
思って言ってくれるなら、人は人生を、自己肯定感を持って
生きることができるのではないか。少なくとも私はそうである。
可愛いって言葉はあなたのためにある。
世の中のお父さんお母さんは、子どもにぜひ言って欲しい。

伯父と最後に会ったのはいつだったのだろう。
食事に行った蟹のお店で、尺八奏者がHappy birthday to you
を演奏してくれたのを覚えている。80のお祝いだったかな。
その日の笑顔も、あの遠い日の笑顔も、ずっと忘れない。
―N