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文京区 家庭的保育事業 小堀奈央

TEL.03-3822-8488

〒113-0021 東京都文京区本駒込4-27-3-103

SandyとNaoのつぶやきcompany


2020年03月02日

それは20年程前のこと。
友人たちを羽田空港に送る車での出来事だった。
当時の車にはナビなどなく、方向音痴は折り紙付きの私であったが
この道をまっすぐに行けば空港に着くことは分かっていた。
皆で楽しくお喋りしたり歌ったり。
そんな中、空港行きのリムジンバスが安全運転の私の車の右横を
通り過ぎた。その行き先を見て、心臓が止まりそうになった。
『成田空港』と、表示されているのが見えたのだ。

え、え、え。うそでしょ?ほんとなの?
そうなの?ほんとにほんと?
どどどどどうしよう(o_o)

心臓をバクバクさせながら、言った。
「あのね、もしかしたら反対方面に向かっちゃってるかも…」

賑やかだった車内が一気に静まり返った。
そんな時に限って行き先を知らせる標識がなかなか出て来なくて、
私は半ばパニック状態。
父に電話をかけると「太陽はどっちにある?」と聞かれた。
「それは確かに反対に行ってるね」
…ガーーーン。

飛行機の時間に、100%間に合わない。
ごめん!ほんっっっとにごめんなさい!!友人たちに謝った。
すると年長者のひとりがこう言った。

「こういう時に信仰が試されるんだよな(彼はクリスチャン)。
大丈夫、なんとかなるよ!」

それまでは、不安な思いで泣きそうだった私だが
それを聞いた途端、今度は感動して泣きそうになった。
男前過ぎるんですけどって。

他のみんなも口を揃えて「そうだよ、何とかなるよ。
成田に着く前に気づけてよかったよね」
そんな感じのことを言ってくれた。
優し過ぎるんですけど…


世界中がざわついている今、ふとあの遠い日のことを思い出した。
こんな時こそ人間が試されるんだ。そう思う。

お店から一瞬にして消えたあれやこれや。
そんなに必要かな。お尻がそんなにたくさんあるの?と、
家の中で冗談を言っているわが家。
本当に足りなくなったら、どこか外国に行った気分で
シャワーすれば良いよね、なんて。

どの家にも大概少しのストックはあるだろうし、
本当にない人が買えば良い。
足りなくなったらご近所や友だちに借りたりもらったり、
昔みたいにしたら良い。
そんな風に思うのは、今や少数派なのかしら。

そういえばいつだったか給食のお米が足りない事件があったっけ。
あの時は近所の友人が快く届けてくれた。
ポリ袋に詰まった優しいお裾分け。
その節はありがとうございました。


Sandy'sの入口には消毒液が設置されており、
保護者の皆さまには必ずそれを使っていただいている。
お部屋のあちこちにも置いてあり、保育士は子どもの鼻水や
よだれを拭き取るたびにそれを使う。
タオルの共有はしないし、キッチンでは日に何度もタオルや布巾を
取り替える。おもちゃや棚やドアや床…除菌できる布巾で
毎日きれいに拭いている。
けれどそれらのことは、この騒ぎに始まったことではない。
Sandy'sの日常なのである。

意識はしつつも、いつもの毎日を大切に、そして丁寧に、
この度のことを乗り切りたい。


こういう時に試される。
大丈夫、大丈夫! -N